邑南町には鉄道駅がありません。だからといって、町全体を一つの「車の町」にまとめると、石見、瑞穂、羽須美で違う日常の入口が消えてしまいます。
町の交通計画が掲げる「病院へ行き、13時までに帰宅できる」という目標を手がかりに、三地域の一日を読みます。
三地域を一つの無駅町にしない
旧石見・旧瑞穂・旧羽須美で、道路と用事の向きを分けます。
邑南町は2004年、石見町、瑞穂町、羽須美村の合併で成立しました。町域の多くは標高100〜600mにあり、石見・瑞穂の一部には中国山地の急峻な地形もあります。
候補住所には、三地域のどこか、さらにどの公民館区かを書きます。同じ無駅でも、矢上側へ出る住所、田所側へ出る住所、口羽側から江の川・県境方向へ動く住所では、使う路線が変わります。
最寄りの鉄道駅までの自動車時間は最後に調べます。先に町内で行政、受診、日用品を閉じられる日を作り、町外の鉄道は必要な曜日だけ接ぎます。
邑南町は一つの無駅町ではなく、石見・瑞穂・羽須美の三つの予定表を持つ町です。
矢上・田所・口羽へ用事を割る
地域側の結節へ戻る平日を、一つずつ作ります。
石見地域では矢上と役場・邑智病院側、瑞穂地域では田所や瑞穂インター側、羽須美地域では口羽側を主な入口として確認します。すべての用事を矢上へ集めません。
一週間のうち、受診の日、行政の日、日用品の日を三地域の近い結節へ割ります。地域側で閉じる日があるほど、町を横断する回数を減らせます。
各地域で一度ずつ「車を使わない半日」を作ります。矢上側では受診後、田所側では広域便との接続後、口羽側では地域内の用事後に帰る。乗れなかった便まで記録すると、路線図には現れない待ち時間と送迎の必要回数を比べられます。
学校バスに一般住民が乗れる便もありますが、学校の運行を自由な町内便と考えません。利用可能な便・停留所・運休日を確認し、通学日程の変更時には別の帰路を持ちます。
三地域の結節は優劣を比べる中心ではなく、自宅へ戻る向きを揃えるための入口です。
路線名を帰りの時計へ戻す
十を超える路線名を、使える往復へ絞ります。
町の現行案内には、羽須美田所、口羽矢上、高原、出羽、市木、大朝、日和、日貫、瑞穂インター、邑南川本、瑞穂矢上など多くの路線が並びます。
路線一覧を読んだだけで移動できるとは判断しません。候補住所から乗る一本、目的地で降りる場所、帰りに使う一本だけを抜き出します。乗継がある日は待機場所と次便も書きます。
路線数が多い町では、似た地名や途中止まりを混同しやすくなります。時刻表の更新日、行先表示、運行曜日を三点セットで確認し、古い保存画像を使いません。
路線名を覚えるより、自宅側へ戻る最後の一本を先に囲む方が暮らしに直結します。
十三時帰宅を受診日に試す
計画目標を町全体の数字で終わらせず、実際の予約表にします。
公共交通計画は、病院を受診して13時までに帰宅できることを目標に置きます。これは全便がその条件を満たすという現状説明ではなく、交通を改善するための目標です。
候補住所ごとに、予約、乗車、病院到着、受付、診察後に乗れる便、自宅地区への帰着を書きます。診察が延びた場合は次便まで待てるか、別日に予定を分けられるかも試します。
受診表には30分と60分の遅れを二本加えます。13時までに戻れる通常欄だけでなく、遅れたときの次便、待てる場所、昼食、薬の受取りを並べる。一本逃しただけで家族の迎えが必須になる住所か、地域側で待って帰れる住所かが分かれます。
13時を過ぎたら不合格と機械的に決めず、帰宅後の食事、見守り、家族の車利用にどう影響するかを記録します。町の数字を自分の生活条件へ翻訳する作業です。
「13時まで」は便利さの宣伝ではなく、通院日が一日仕事にならないかを確かめる具体的な時計です。
高原と江の川で停止線を変える
土砂・洪水・ため池を住所の地形へ重ねます。