奥出雲町にはJR木次線の駅が7つあります。駅数だけなら鉄道が細かく町を覆うように見えますが、町の公共交通計画は「各地区内の移動」と「三成または横田までの移動」を別の目標にしています。
駅の有無ではなく、改札から自宅地区、病院、庁舎へ届く最後の工程を読みます。
七駅を七つの生活中心にしない
駅数ではなく、改札後に生活機能へ届く工程を比べます。
出雲八代、出雲三成、亀嵩、出雲横田、八川、出雲坂根、三井野原。7駅は町外へつながる鉄道軸ですが、すべての駅前に同じ生活機能があるわけではありません。
候補住所から日常駅を二つまで選び、駅までの交通、列車後の用事、帰りの便を一組で確かめます。列車時刻が合っても、駅から毎回送迎が要るなら、その条件を隠しません。
七駅は、まず三成側、横田側、国道314号上流側の三群に分けます。そのうえで、通勤・通学の列車が止まり、駅後に庁舎や買い物へ移れる駅を主駅にし、遅延時に戻れる駅を一つだけ残します。出雲坂根や三井野原が近くても、日常の用事が三成・横田へ戻るなら、観光的な路線図の印象と生活駅の選択を分けます。
奥出雲町の7駅は七つの中心ではなく、谷ごとに役割が違う七つの乗降点です。
三成と横田へ用事を分ける
二つの中心市街地を競わせず、それぞれの日常の役割を見ます。
町は仁多地域の三成と横田地域の横田に中心市街地を持ち、立地適正化計画も二つの中心と下横田を扱います。仁多庁舎や奥出雲病院は三成側、横田庁舎や横田側の生活機能は別方向です。
一週間を三成の日、横田の日、地域内の日に分けます。行政、受診、買い物を二中心へ毎回またがせず、最後の用事を自宅へ戻る側へ置きます。
例えば受診と仁多庁舎は三成の日、横田庁舎側の手続きと買い物は横田の日にまとめます。同じ日に二中心を往復する予定は一度外し、どうしても必要な場合だけ接続と待ち時間を足します。二つの中心がある強みは、一日に両方へ行くことではなく、用事の曜日を分けられることにあります。
三成と横田を一つの町中心に畳まないことが、長い往復を減らす最初の編集です。
九地区から駅後を描く
地区内移動と二中心への移動を一つの便だと思いません。
布勢、三成、亀嵩、阿井、三沢、鳥上、横田、八川、馬木の9地区では、最寄駅も二中心への向きも違います。八川は国道314号とおろちループを含む南の玄関、馬木は山々の谷間に集落が続きます。
住所ごとに地区名、最寄駅または停留所、三成・横田のどちらへ出るか、地域内で閉じる用事を記します。出雲坂根や三井野原に近い住所も、駅からの坂と冬期の移動を別に測ります。
9地区の確認票には、行政の窓口、日用品、定期受診、通学・送迎、地区内交通の五項目を置きます。各行を三成、横田、地区内のどこで済ませるかに分けると、最寄駅が同じでも生活の向きが異なることが分かります。便数だけでなく、帰宅前の最後の用事がどちら側にあるかを見ます。
9地区まで下げると、同じ木次線沿線でも「駅の先にある生活」の違いが見えます。
休日と冬期に一日を作り直す
平日の通常表を使えない条件から暮らしを試します。
町営交通の案内には日曜・祝日全便運休の表示があります。平日に便があることを休日へ流用せず、休日は地域内で済む用事、家族送迎、町外予定の延期という順に縮めます。
休日の空白と冬の遅れは別の表にします。休日表では運休する町営交通を最初から消し、徒歩圏と家族の在宅時間だけで一日を組みます。冬期表では便が運行する前提を残しつつ、玄関から停留所まで歩けない場合、列車が遅れた場合、帰便を一本早める場合を順に試します。
冬は列車の運行だけでなく、自宅から駅・停留所までの除雪、日陰の凍結、待機場所を確認します。通常期と冬期で同じ所要時間を書きません。
休日と冬期の二つの空白を埋められない住所は、平日の駅の近さだけでは選べません。
谷を下らない避難を決める
駅前集合より、地区ごとの土砂と道路の停止線を優先します。