夕張市の古い鉄道路線図には、本町側の夕張駅から新夕張駅まで、谷に沿って駅が並びます。現在、その線を列車でたどることはできません。新夕張―夕張間16.1kmのJR夕張支線は2019年4月1日に廃止されました。石勝線の滝ノ上駅も2024年に廃止され、市内で現在利用できる鉄道駅は新夕張駅だけです。
それでも、線路が結んでいた集落の順番まで消えたわけではありません。本町・鹿の谷・若菜・清水沢・沼ノ沢・紅葉山へ、南北の谷筋に市街・集落が続きます。市は若菜、清水沢、紅葉山を生活利便性の高い拠点と位置付け、路線バス、デマンド交通、タクシー支援を組み合わせています。
かつての夕張駅があった本町側は市域北部の行政中心、新夕張駅のある紅葉山側は市域南部の広域交通入口です。「夕張駅が新夕張駅へ移った」のではなく、別の場所・別の役割を持つ駅が一つだけ残った、と捉えます。
夕張では、消えた線路を懐かしむだけでなく、線路が残した南北の生活骨格を現在の交通へ翻訳します。
支線が消えても、南北の集落順は残っている
廃止駅を現行案内にせず、鉄道が形づくった集落列を現在の道路・バスへ読み替えます。
旧夕張支線には、新夕張から沼ノ沢、南清水沢、清水沢、鹿ノ谷、夕張へ向かう駅がありました。現在はすべて廃止駅です。駅舎や線路跡が地図に残っていても、現行の乗車地点として数えません。
重要なのは、鉄道が谷ごとの炭鉱・住宅地を一列につないでいたことです。支線廃止後の路線バスも、紅葉山・清水沢・若菜・本町方面を結ぶ南北軸を担います。バス停の位置は旧駅と同じとは限らず、候補住所から現行停留所まで歩き直します。
南部、真谷地、楓、登川など、本線状の南北軸から枝分かれする地域もあります。地図上の近さだけでなく、清水沢や紅葉山へ一度出る必要があるかを確認します。
廃止駅の名前を現在の目印に使うときは、必ず現行バス停と利用できる交通へ置き換えます。
新夕張駅は唯一の駅だが、唯一の生活中心ではない
広域鉄道の入口と、若菜・清水沢・紅葉山の生活機能を別の役割として確認します。
新夕張駅は石勝線の現行駅で、札幌・帯広方面を含む広域鉄道の入口です。市内唯一の駅であることと、市内すべての生活機能が駅前へ集まることは同じではありません。市役所は本町にあり、清水沢や若菜にも日常機能があります。
市のコンパクトシティ構想は、若菜、清水沢、紅葉山を生活利便性の高い拠点として示します。紅葉山は新夕張駅と道路交通の結節、清水沢は市域中部の生活機能、若菜は北側の集落と市中心を結ぶ役割として読みます。三拠点を便利さの順位にはしません。
三拠点は同じ施設を複製した場所ではありません。紅葉山は市外へ出る鉄道・道路、清水沢は南北の中間で日常の用事を束ねる場所、若菜は本町側と中部をつなぐ場所として、使う頻度が違います。最寄り拠点だけでなく、用事ごとに行き先を切り替えます。
候補住所から、週に何度JRを使うか、何度市役所・診療・食品の用事があるかを数えます。鉄道をほとんど使わない世帯なら、新夕張駅への近さだけで決めません。反対に市外通勤・通院があるなら、JR到着後に自宅へ戻る最終バスまでを一つにします。
新夕張は広域交通の中心、三拠点は市内生活の中心として役割を分けます。
バス、デマンド、タクシー支援を地域名で切り替える
交通があるという一言で済ませず、地区・予約・対象条件から実際の復路を組みます。
夕張市の地域公共交通は、一種類ではありません。南北を結ぶ路線バス、市外線のデマンド交通、南部線・真谷地線などの予約交通、対象地区のタクシー利用支援が組み合わされています。運転手不足や人口減少のなかで計画は変更されるため、利用前に市の現行ページと事業者の時刻表を確認します。
デマンド交通は、対象地区、予約期限、運行日、乗降場所を満たして使う交通です。南部に住む人と真谷地に住む人、楓・登川・滝ノ上周辺の人では使える制度が同じとは限りません。「市内にデマンドがある」と一括せず、住所名から制度を引きます。
タクシー利用支援も、市民全員がいつでも使える一般割引とは限りません。対象地区や利用者要件、利用できる区間を市の現行案内で確かめ、デマンド交通の代わりとして勝手に足しません。
確認は帰りから始めます。診察や買い物が終わる時刻、新夕張駅への列車到着、清水沢・本町方面へ戻る便、予約の締切を逆算します。家族の車が使えない日を月に一度つくり、実際に予定が成立するか試します。