厚沢部町の地図では、町を東西に国道227号が通ります。しかし暮らしは一本の道路沿いに均等に並びません。厚沢部川、安野呂川、鶉川の流域に、下地区、鶉地区、館地区が約10kmずつ離れて置かれています。
役場、病院、学校、商店が最も集まるのは下地区です。鶉は鶉川沿い、館は厚沢部川上流側にあり、同じ町内でも中心へ行く道路と時間が変わります。
厚沢部町は、駅のない一つの内陸町ではなく、三河川がつくる三地区を道路で結ぶ町です。
三河川を三つの生活地区へ重ねる
広い内陸町を距離だけで見ず、下・鶉・館の流域と日常施設を一つずつ読みます。
下地区は厚沢部川と安野呂川が近づく西側にあり、役場、厚沢部町国民健康保険病院、学校、公共施設、商店が集まります。町内の用事をまとめやすい一方、江差へ出る日にはさらに西へ進みます。
下地区へ出る日は、病院の受付、薬、役場、食料品を帰りのバスまでに束ねます。町立病院で対応する日常受診と、江差・函館等の専門医療は別の行程です。「町内に病院がある」ことを全診療の完結へ置き換えず、紹介受診の朝便と帰宅手段も確認します。
鶉地区は鶉川の流域と国道227号沿いに集落・農地が続きます。国道が通るため下地区や函館方向へ開きますが、バスの間隔と冬の所要を中心部と同じにしません。
館地区は厚沢部川上流側にあり、道道66号等で下・鶉側と結ばれます。館・富里で済む用事、下地区へ出る用事、江差へ行く用事を三段階に分けます。
稲見・清水は道道67号で八雲方向へも開きます。行政界を越える道路があっても、日常のバス・買い物・受診が同じ方向とは限りません。三地区を住所名ではなく、どの川と道路を使って用事へ出るかで読みます。
道道67号は八雲方向へ抜ける道路ですが、稲見線の生活行先は江差側です。道路の向きと公共交通の向きを同じにせず、車なら八雲へ出る日、バスなら江差高校・江差市街へ向かう日を分けます。冬の峠や通行規制がある日は、どちらにも抜けられるという地図上の印象を外します。
国道227号を下地区と鶉で使い分ける
同じ幹線沿いでも、役場中心と農業地域では江差・函館へ出る一日が異なります。
国道227号は江差と北斗・函館方向を結び、函館バスの函館・江差線が通ります。町内に鉄道駅がない厚沢部では、広域の通勤・通学・通院を支える幹線です。
下地区から江差へ向かう日と、鶉から函館方面へ向かう日では、同じ路線でも乗車時間と帰便が違います。最寄り停留所までの歩道、冬の待合、上下線を実際の時間帯で確認します。
車では国道の速度だけでなく、農作業車、降雪、狭い区間、江差側の混雑を見ます。家族一人が車を使った後、残る人が病院・学校・買い物から戻れるかを試します。
国道沿いという共通点より、下地区と鶉で「どちら向きの便を何時に使うか」を分けます。
館線・稲見線を通学と帰宅から読む
支線があることだけで判断せず、江差高校等への行きと帰り、学校休業日の条件を確認します。
館線は富里・館地区、稲見線は稲見地区等から江差方面を結び、国道幹線が直接届かない集落を補います。公共交通計画は、江差高校への通学が大きな利用目的であることを示します。
通学に合う朝便があっても、部活動後、学校休業日、通院予約に同じように使えるとは限りません。行きのバス停より、帰りの最終便と家族送迎の代替を先に確認します。
町が行う高校生向け相乗りバス等の支援も、対象、登録、年度、運行日を確認します。恒久的な誰でも利用できる路線へ置き換えません。
館・鶉から厚沢部中学校へ通う日と、町外の江差高校へ通う日でも使う交通は変わります。兄弟姉妹の学校、部活動、保護者の勤務が重なる夕方を一日だけ試算し、支線がない時間に誰が迎えへ動くかを決めます。通学支援は家族の送迎をゼロにする制度ではなく、特定の時間帯を支える仕組みとして読みます。