島田市の地図には、二つの向きがあります。六合、島田、金谷を結ぶJR東海道本線は東西へ走り、金谷から先の大井川鐵道と川根方面の交通は、大井川をたどって北へ向きを変えます。駅の数だけを追うと、この折れ曲がりを見落とします。
現在の市域は、2005年に旧島田市と旧金谷町が合併し、2008年に旧川根町が加わってできました。三地域は行政上まとまっても、川を渡る暮らし、台地へ上る暮らし、川上へ遡る暮らしという違いを残しています。
三つのJR駅を東海道の横線として読む
六合・島田・金谷を同じ駅勢圏にせず、東西の目的地から選びます。
市内のJR東海道本線には六合、島田、金谷の三駅があります。三駅を「島田駅に近いか」という一列にせず、静岡・藤枝方向へ向かう日と、菊川・掛川方向へ向かう日で入口を選びます。
六合では東側への動線、島田では中心市街地と駅発のバス、金谷ではJRから大井川鐵道や地域交通へ替わる動線が加わります。行き先が違えば、便利な駅も同じではありません。
候補住所から改札まで歩き、帰宅側のバス停、駐輪場、踏切、夜の明るさを記録します。駅まで同じ十分でも、帰りに大井川を渡るか、台地へ上るかで一日の余白が変わります。
家族の通勤・通学先が東西に分かれるなら、全員が島田駅へ集まる必要はありません。六合、島田、金谷のどこで待てるかを先に決めておくと、運転見合わせ時の動きも短くできます。
一週間の予定を島田側と金谷側へ色分けし、両岸で用事がある日は一往復の中へ束ねます。朝夕に二度ずつ橋を渡る予定なら、学校や買い物の一部を同じ岸へ移せないか見直します。
三駅の順位ではなく、東へ行く日、西へ行く日、川上へ乗り替える日を分けます。
大井川を渡る回数を暮らしの尺度にする
旧二宿の間にある大河を、毎日の橋と帰宅経路として捉え直します。
江戸時代の島田宿と金谷宿は、大井川の両岸に置かれました。川越制度が必要だった歴史は、現代の橋や鉄道へ姿を変えています。両岸は近く見えても、毎日どこで川を越えるかは今も重要です。
勤務先、学校、通院、買い物を地図に置き、一週間で大井川を何回渡るか数えます。橋を越える用事が複数あるなら、一日に束ねられるか、片岸で済ませられるかも確認します。
自動車では橋までの混雑、強風・大雨時の迂回、橋を渡った後の右左折を実際の時間帯で走ります。鉄道では、金谷駅で改札やホームを替える時間を、検索結果の乗車時間とは別に測ります。
普段使う橋に加え、一つ上流または下流へ回る経路も記録します。ただし地図上でつながっていても、徒歩で渡れるか、夜に家族を待てるかは別です。移動手段ごとに代替の可否を書き分けます。
島田側と金谷側のどちらに住んでも、市内のすべてが同じ岸にそろうわけではありません。住所比較では「中心まで何キロ」より「川を越えずに終わる用事」を書き出します。
大井川は景観上の境ではなく、毎日の用事を束ねる単位です。
金谷で川上と空港へ向きを変える
鉄道の北向きと、台地・空港へ上る道路を分けて組みます。
金谷は三方向の分岐です。JRで東西へ進む、大井川鐵道で川上へ向かう、牧之原台地や富士山静岡空港へ道路で上る。この三つを「金谷駅への近さ」だけでまとめません。
大井川鐵道へ乗り継ぐ日は、列車の運行区間と接続を公式情報で確認します。新金谷駅周辺まで別の移動が必要になる場合も含め、往路だけでなく帰りの最終接続を先に置きます。
運行区間や代行交通は固定して覚えません。利用する日の朝と帰宅前に事業者の運行情報を確認し、列車が届かない区間を自主運行バスや家族送迎で当然に補えるとは考えないようにします。
初倉・湯日では空港が近い住所があります。ただし、空港への近さは通学・通院・日用品の近さと同じではありません。空港方向の道路と、島田駅・金谷駅、地域内施設へ向かう道を別々に走ります。
牧之原台地へ上る住所では、坂、霧、夜間、給油、送迎の待機場所を確かめます。広域移動の入口が近くても、家族が日常的に送り迎えを担えるとは決めません。
金谷では、鉄道の乗換と台地への上りを別の移動として測ります。
家山から先は谷ごとに帰宅を組む
川根を一本の沿線にせず、駅・バス・地域内待機を集落ごとに確かめます。
旧川根町側では、家山、身成、抜里、葛籠、笹間などが大井川と支流の谷に沿って続きます。大井川鐵道の駅がある地域と、駅から自主運行交通や道路でさらに入る地域を分けます。
市のバス案内には川根温泉線、伊久身線などが示されています。路線名を知るだけでなく、家山駅や下泉駅などでどこへ替わるか、反対方向の停留所はどこか、帰宅便まで確認します。
家山から大井川本流をたどる方向と、伊久美や笹間へ谷を分ける方向は同じではありません。駅から先の道路名、停留所、地区施設を谷ごとに一列で書き、隣の谷を簡単な迂回路として扱いません。
市は川根温泉線の一部について、連続雨量により道路が通行止めとなる場合があると案内しています。雨の日は「便があるか」だけでなく、道路が使えるか、地区内で待てるかを先に確かめます。
買い物、診療、行政の用事を毎回島田中心へ運ばず、家山や各地区で済むものを一日に束ねます。最終便を逃した時に隣の谷まで歩けるとは考えず、連絡先と迎えの限界を決めます。
川根の距離は駅からのキロ数ではなく、どの谷で一日を完結できるかで測ります。
九枚の防災図から通る一枚を選ぶ
大井川と支川、台地と山地で、普段の道に対応する図郭を選びます。
島田市の洪水・土砂災害ハザードマップは、市域を九つの図郭に分けています。旧市内、六合、初倉、金谷、家山、笹間を同じ縮尺で一枚に押し込めていません。
大井川に加え、湯日川、栃山川、木屋川、大津谷川、大代川など、住所によって確認する河川が替わります。自宅だけでなく、三つのJR駅、橋、停留所、学校、勤務先を同じ図郭へ置きます。
金谷・牧之原側では台地の縁、川根では谷沿いの土砂と道路寸断も重ねます。浸水を避けて高い方へ進んだ結果、斜面へ近づかないかを歩いて確かめます。
家族が島田、金谷、川根へ分かれている昼間は、一か所へ集合する前提を外します。それぞれの岸・谷で公式情報を待ち、橋と道路の使用可否を確認してから動きます。
自宅と学校・勤務先が別の図郭なら、双方の避難先と連絡不能時の待機時間を一枚の家族メモにします。連絡が戻る前に大井川の橋や山間道路へ向かわないことまで決めておきます。
九枚から自宅の一枚を選ぶだけでなく、毎日通る橋と谷の一枚も選びます。