大垣市の地図には、見落とせない特徴があります。大垣地域、上石津地域、墨俣地域が地理的に離れ、間を別の自治体が隔てています。2006年に一つの市になっても、鉄道の使い方、水の流れ、日常の目的地まで連続したわけではありません。候補住所は最初に三地域のどこかへ置きます。
大垣地域は大垣駅の鉄道結節と15の一級河川、地下水と輪中の土地。上石津は牧田川沿いの山林と国道365号、墨俣は長良川・犀川に近い低地と道路の生活圏です。同じ「大垣市から何分」という表現を三地域へ使わず、それぞれの入口から時計を動かします。
三つに離れた市域から住所を読み始める
大垣・上石津・墨俣を一枚の連続市街地と考えず、入口と日常目的地から分けます。
大垣地域には市役所本庁と大垣駅を中心とする市街地があります。上石津と墨俣には地域事務所が置かれ、行政窓口を支えます。住所に大垣市とあっても、本庁へ向かう経路や近隣都市との関係は同じではありません。
上石津から大垣地域へは山あいから牧田川沿いを下る道路移動が入り、墨俣からは岐阜市・羽島市方面も日常の候補になります。市役所へ行く日より、通勤、通学、受診、日用品の回数が多いなら、市境を越える目的地も生活線へ入れます。ただし制度の担当窓口とは分けて記録します。
市域が離れていることを特殊な地理として眺めるだけでは足りません。家族の一週間に、大垣地域へ行く用事と近隣自治体で済む用事を置き、戻る時間まで比べます。
大垣市では駅距離より先に、大垣・上石津・墨俣のどこで暮らすかを決めます。
大垣駅の四方向結節を本体地域で使い分ける
JR、養老鉄道、樽見鉄道を、行き先と駅までの生活線で選びます。
大垣駅ではJR東海道本線、養老鉄道養老線、樽見鉄道樽見線が接続します。東西の広域移動だけでなく、北・南へ異なる鉄道が分かれるため、駅を使う目的を明確にします。乗換の階段、改札間の移動、駐輪や送迎まで一つの行程です。
JRには大垣駅のほか荒尾・美濃赤坂があり、樽見鉄道の東大垣、養老鉄道の複数駅が赤坂、東部、南部などの移動を分担します。大垣駅に近づくことだけを便利さとせず、勤務先や学校へ向かう方向と、帰宅時に使える駅を照合します。
三事業者を乗り継ぐ日は、ホーム間の移動と待ち時間を含めます。赤坂側では荒尾・美濃赤坂、東側では東大垣、南側では養老線の駅へ直接向かう選択肢があり、いったん大垣駅へ集める方が長くなる用事もあります。
大垣駅通りを中心とする範囲は都市の中心拠点に位置づけられています。徒歩で複数の用事を結べる一方、すべての大垣地域が徒歩圏ではありません。水門川、幹線道路、踏切を越える住所では、自転車とバスを含めて駅までを測ります。
大垣駅の鉄道結節は大垣地域の力です。その利便を離れた二地域へ自動的に広げません。
上石津と墨俣は道路の向きで生活圏を決める
鉄道のない二地域を一括せず、山あいと低地で異なる出口を確かめます。
上石津地域に鉄道駅はなく、国道365号などの道路とバスが生活線になります。牧田川沿いに集落が続き、山地へ入るほど坂、土砂、冬季路面、道路寸断の確認が増えます。バス停までの距離ではなく、運行日と帰便、待てる場所を含めて一日を組みます。
集落から国道365号へ出るまでの村道・県道が最初の生活線です。幹線が通れる日でも最後の区間が雪や土砂で使えない場合を想定し、自主運行バスへ乗る場所、家族送迎へ切り替える場所、地域内で待てる施設を決めます。
墨俣地域も大垣駅の鉄道駅勢圏として単純には測れません。長良川と犀川に挟まれ、岐阜・羽島方面を含む道路やバスの向きがあります。大垣中心へ行く経路と、近い町外の駅・施設へ向かう経路を分け、橋の通過時間も加えます。
橋を渡る回数は、平日の所要時間だけでなく水害時の選択肢にも関わります。岐阜側、羽島側、大垣中心側へ出る三つの方向を試し、普段使う橋を避けても地域内の避難先へ到達できるかを確かめます。
二地域とも鉄道がないという共通点はありますが、上石津は山と谷、墨俣は平野の川と堤防が移動を決めます。車が使えない日に頼れる交通も、同じ条件ではありません。
上石津と墨俣を「駅のない地域」でまとめず、山あいと低地の出口を別々に探します。
水都を自噴水だけでなく輪中と排水から見る
地下水の印象に、15河川、堤防、内水排除の仕組みを重ねます。
大垣は地下水と自噴水で知られます。しかし生活者が水を読むときは、恵みだけでなく低地の成り立ちも必要です。大垣地域には揖斐川、牧田川、杭瀬川、水門川など15の一級河川が流れ、輪中と排水の仕組みが市街地を支えてきました。
候補住所では外水の洪水想定と内水の排水条件を分けます。川から離れていても周囲より低い場所、アンダーパス、用水沿いでは雨水の逃げ方を確認します。堤防を越える日常路が、避難時にも使えるとは限りません。
上石津では牧田川と支流、山際の土砂を重ね、墨俣では長良川・犀川、堤防、橋を見ます。地下水が豊かという市全体の説明を、全住所で同じ水質・水位・災害条件があるという意味にしません。
「水の都」は自噴水の景観だけでなく、河川と輪中、排水を管理して暮らす土地の説明です。
学校・行政・避難先を三地域で別々に置く
上石津学園と二つの地域事務所を、日常の往復と災害時の行動へつなぎます。
上石津地域では2024年に小中一貫の上石津学園が開校しました。学校が地域内にあることと、すべての集落から同じ通学時間になることは別です。スクール交通、集合場所、積雪や土砂時の連絡を住所ごとに確認します。
行政は本庁、上石津地域事務所、墨俣地域事務所の役割を分けます。日常の証明、福祉、相談でどこへ行くか、専門的な手続で本庁が必要かを先に確かめれば、離れた市域を無駄に往復せずに済みます。
避難先も市全体で一か所に寄せません。大垣地域では河川と内水、上石津では河川・土砂・道路孤立、墨俣では長良川・犀川と橋を基準に、同じ地域内で到達できる場所を選びます。
離れた三地域では、学校、窓口、避難先も三枚の生活地図に分けます。