中津川市には鉄道駅が六つあります。けれども、その六駅を一つの路線図へ置くだけでは暮らしを読めません。JR中央本線の4駅は木曽川沿いを東西に走り、明知鉄道の2駅は市南部の阿木川側にあります。付知・加子母・福岡など北部へは、付知川をさかのぼる道路が生活の骨格です。
市は中津、苗木、坂本、落合、阿木、神坂、山口、坂下、川上、加子母、付知、福岡、蛭川の13地区で地域を捉えています。2005年には長野県の山口村を含む越県合併も行われました。市境と県境を日常の境と決めず、川を下る先と鉄道へつながる入口を見ます。
十三地区を三本の生活線へほどく
広域合併後の市域を、木曽川・阿木川・付知川へ下る一日の向きから読みます。
中津川駅周辺と苗木は市中心の機能へつながり、坂本、落合、坂下、山口は中央本線と国道19号の木曽川軸に沿います。阿木と蛭川は南側、付知、加子母、福岡は北側にあり、同じ中心から放射状に出入りする市ではありません。
候補住所の地区名を確認し、木曽川、阿木川、付知川のどこへ水と道が下るかを書き込みます。買い物、通勤、受診、学校を目的地別に置くと、市中心へ向かわない用事も見つかります。
13地区は統計と行政だけの区分ではなく、旧町村の中心、交通、地形を照らし合わせる索引です。広い市域を一つの「中津川」へ縮める前に使います。
苗木は木曽川を挟んで中津川中心と向き合い、神坂は山地側から中心へ下ります。どちらも駅のない地区ですが、同じ「駅から離れた地域」ではありません。橋を渡る苗木と、勾配のある道を下る神坂では、通勤・通学の最後の区間が違います。
十三地区を三本の川へ戻すと、同じ市内でも暮らしの出口が違うと分かります。
中央本線四駅は木曽川側を結ぶ
四駅を近い順でなく、目的地、列車、ホームまでの高低差で使い分けます。
JR中央本線の美乃坂本、中津川、落合川、坂下は木曽川側の東西軸に並びます。中津川駅は広域列車とバスが集まる一方、四駅すべてが同じ本数、同じ駅前機能を持つわけではありません。
美乃坂本を使う日は名古屋側、落合川・坂下を使う住所では木曽谷側との往復も生活に入ります。最寄駅の直線距離ではなく、川や国道を越えてホームへ入る道、朝に乗れる列車、夜に戻れる列車を一組にします。
苗木や神坂など駅から離れる地区では、駅名を決める前に駅までの交通を確かめます。家族送迎を使う場合も、送りと迎えで車が二往復する時間を見落としません。
坂下と山口では、中央本線や国道19号を長野県木曽側へ進む生活も候補です。越県合併の経緯を県境の話だけで終わらせず、通勤、通院、買い物の目的地が東西どちらにあるかへ置き換えます。旧中山道に沿って続いた集落と現在の鉄道・国道は、同じ谷の向きを共有しています。
中央本線四駅は木曽川側の線です。市の北と南まで駅勢圏を広げません。
飯沼と阿木は南から市を見る駅である
明知鉄道沿線を中央本線沿線の続きにせず、恵那側へ向かう生活線として見ます。
明知鉄道の飯沼駅と阿木駅は中津川市内にあります。路線は恵那駅から南東へ延び、市内で中央本線の中津川駅へ直接つながるものではありません。六駅を同じ通勤候補として数えると、乗換方向を取り違えます。
阿木川側の候補住所では、飯沼と阿木のどちらへ出るか、恵那駅方面へ進む用事が多いかを見ます。駅までの坂、列車間隔、帰宅後の徒歩を確認し、鉄道が使えない時間の道路・送迎も用意します。
蛭川など隣接地区では、明知鉄道駅、中央本線駅、道路交通のうち、日常目的地へ実際につながるものを選びます。自治体内の駅を優先する必要はありません。
ただし蛭川を阿木の延長にもしません。阿木は明知鉄道の駅を持ち、蛭川では道路から恵那側や市内拠点へつなぐ比重が上がります。地区名が違えば利用できる地域交通も変わるため、同じ南部という括りで時刻を流用しません。
飯沼と阿木は、中津川駅の支線ではなく、恵那側から南部を支える入口です。
付知川を上る住所は道路から選ぶ
北部の住所では、最寄駅より谷を下って受診・買い物を終える一日を組みます。
付知、加子母、福岡方面は、付知川と国道257号側の道路を中心に生活が組まれます。鉄道駅からの距離を先に出すより、地区内の買い物、地域窓口、受診先、市中心へ下る用事を一週間に分けます。
路線バスや地域交通は、運行日、予約、停留所、接続が地区で異なります。朝に出られても帰りの便がなければ日常の往復にはなりません。車が使えない日を一日設定し、受診と買い物を同日に済ませられるかを試します。
北部では下呂市方面、中心部や東部では長野県木曽地域、南部では恵那市方面が候補になることがあります。市外を遠回りと決めず、目的地までの谷と冬季の道路を見ます。
付知、加子母、福岡も一つにはしません。付知は付知川沿いの地域拠点、加子母はさらに上流、福岡は中心部側との受け渡しに位置します。同じ国道257号側でも、日用品を得る場所、通学、除雪後に幹線へ出られる時刻を地区別に確認します。
付知川側では最寄駅より、谷を下って用事を済ませ、同じ日に戻れるかが先です。
リニアの将来図より、今日渡る橋を見る
開業前の計画と現行交通を切り分け、複数河川の橋と避難先を確かめます。
坂本地区ではリニア中央新幹線岐阜県駅の計画があります。しかし現在利用できる交通ではありません。住まいを選ぶときは将来図と、今日使える美乃坂本駅、バス、道路を別の紙に描きます。
市のハザード情報は木曽川だけでなく、中津川、坂本川、付知川、阿木川など複数の河川を扱います。候補住所から駅や学校へ向かう途中の橋を確認し、洪水時に川から離れる道が土砂警戒区域へ近づかないかを重ねます。
最寄りの避難所へ一律に向かわず、洪水、土砂、地震で待つ場所を分けます。家族が13地区の別々の場所にいる昼間は、迎えに行くより各自がその地区で待つ基準も必要です。
開業前の駅より、今日渡る橋と今夜帰れる交通を先に生活条件へ入れます。