九重町にはJR久大本線の恵良、引治、豊後中村、野矢という4駅があります。しかし、町の輪郭へ4駅を均等に置くと、実際の暮らしから離れます。駅は主に北側の谷筋へ並び、町南側の飯田高原には鉄道駅がありません。
町は東飯田、野上、飯田、南山田の四地区で整理できます。久大本線と国道210号が谷を東西へ通る横軸、九重縦断線が飯田高原へ上がる縦軸という二本を分けることが、九重町を読む出発点です。
四駅が並ぶ谷を、横にたどる
4駅を町全体の駅勢圏にせず、東西へ続く谷の入口として読みます。
恵良駅は東飯田、豊後中村駅・野矢駅は野上、引治駅は南山田側の生活線を読む入口になります。4駅があるという事実だけで、各地区の集落が駅徒歩圏になるわけではありません。駅までの谷道、橋、坂、家族送迎を加えます。
久大本線と国道210号は、玖珠町側と由布市側を結ぶ東西軸です。通勤・通学だけでなく、買い物、受診、行政手続でどちらの方向へ出るかを曜日ごとに確認します。同じ駅でも、上りと下りでその後の生活先が異なります。
豊後中村駅は町内の代表的な鉄道入口ですが、駅に近いことと、町内のすべての用事へ近いことは同じではありません。飯田高原へ向かう日は、駅から南へ上がる交通をもう一段加えます。恵良・引治側も、地区拠点と駅の位置関係を確かめます。
4駅は四つの独立中心ではなく、北側の谷を横につなぐ連続した入口です。駅前だけを比べず、家族が使う町外方向と、駅から集落までの二次移動を記録します。
四地区を、駅名ではなく生活単位で分ける
東飯田・野上・飯田・南山田で拠点と日常先を組み替えます。
東飯田、野上、飯田、南山田には、それぞれ地区の拠点と集落のまとまりがあります。駅名で地域を分けると、駅を持たない飯田地区が抜け、駅のある地区でも山地・谷奥の集落が見えなくなります。
東飯田は恵良駅と国道210号から玖珠町側へ向く生活線、野上は役場周辺と豊後中村・野矢の二駅を使う生活線を作ります。南山田は引治駅を持ちながら、駅から離れる谷や山地を含みます。駅までと地区内拠点までを別々に測ります。
飯田地区は高原側に広がり、長者原等へ向かう南北移動が主役になります。地区名を観光地の印象だけで捉えず、買い物、医療、学校、燃料、行政へ往復する生活時間を確認します。
学校、地区公民館、避難所等の位置は、四地区が現在も生活単位であることを確かめる手掛かりです。四地区を同じ「山の町」にまとめず、谷の駅、地区拠点、高原への上り口を各住所で一組にします。
四地区をまたぐ用事は、必ず町中心を経由するとは限りません。東飯田から玖珠方面、野上から由布方面、飯田から高原内、南山田から谷沿いというように、町境を越える短い線も候補へ入れます。住所地の行政サービスは九重町、日常の目的地は隣市町という組合せを除外しません。
子どもの通学と大人の通勤、家族の通院が同じ方向かも確認します。駅へ送った後に高原へ戻る日と、地区内で用事が済む日を分けると、車一台で回せるか、固定便へ替えられるかが見えてきます。
駅のない飯田高原へ、縦に上がる
豊後中村駅周辺から長者原方面へ、高低差を含む一行程を作ります。
飯田高原へは、九重縦断線の南北交通を確認します。町の現行案内では牧ノ戸峠から玖珠町塚脇までを毎日、定員28人、予約不要で運行します。豊後中村駅周辺の谷から長者原、牧ノ戸方面へ進む行程は、運行区間、停留所、季節、帰りの便まで一続きにします。
山岳区間を含む交通は、冬期に同じ条件で走りません。現行案内では季節によって運休区間があるため、夏の時刻だけで年間の通院・通学・仕事を組まないことが重要です。道路の凍結・積雪時に自家用車で同じ所要を見込まないようにします。
飯田地区から町中心へ下りる用事、由布・別府方面へ抜ける用事、地区内で済む用事を三つに分けます。高原側の住所は景観や気温だけでなく、最終便後の帰宅、燃料・食料の補充、医療機関への往復を通常日と悪天候日に試します。
飯田高原では「最寄り駅まで何分か」より、谷へ下りて用事を済ませ、同じ日に高原へ戻れるかが生活条件になります。
縦断線とココバスを、一週間に組み合わせる
毎日の固定幹線と、四地区の平日予約交通を使い分けます。
町営バスの普通運賃は全路線一律で大人500円です。九重縦断線等から別の町営バスへ移る時は乗継券で無料乗継ができます。一方、東飯田・野上・飯田・南山田の四地区には、平日に予約して使うココバスがあります。毎日予約不要の縦断線と、平日予約制の地区交通を混同しません。
月曜の通院、平日の通学、週末の買い物を同じ便で解決しようとせず、固定幹線で済む日、地区支線を予約する日、家族送迎が必要な時間を分けます。予約期限、乗降地点、乗換え待ち、帰路までを一枚の表にします。
野上のように二駅を持つ地区でも、駅から離れる集落があります。飯田のように駅がない地区でも、縦断線とココバスを組み合わせられます。駅の有無を優劣へ変えず、目的地までの行程数と時間帯の合い方で比較します。
車を使う家庭も、運転できない家族の日を作って試します。谷へ下りる送迎と高原へ戻る迎えが重なる場合、地区内の用事へ替えられるか、予約交通へ移せるかを確認します。
公共交通の確認は、停留所までの徒歩で終えません。高原から谷へ下りた後に列車へ接続するか、帰りのココバスを予約できるか、悪天候や冬期に山岳区間の運行条件が変わる時にどこで待てるかまで追います。通院の予約時間を先に置き、往路・復路を逆算します。
日用品や薬の補充は、毎日の少量購入と町外でのまとめ買いで荷物条件が異なります。徒歩と公共交通の日に持ち帰れる量、車で補充する頻度、冬期に数日分余裕を持つ品目を家庭内で決めます。
谷・斜面・高原で、備えを変える
河川、土砂、山岳気象、道路代替を同じ条件で扱いません。