下呂市の高山本線には、飛騨小坂、飛騨宮田、上呂、飛騨萩原、禅昌寺、下呂、焼石、飛騨金山の八駅があります。路線図では一本につながりますが、玄関から駅へ向かう道、駅の周りで済む用事、列車を降りた後の地域交通は同じではありません。
市は2004年、小坂町、萩原町、下呂町、金山町、馬瀬村が合併して成立しました。飛騨川沿いの四地域と、馬瀬川の谷へ入る馬瀬を一つの「下呂駅周辺」に縮めず、五地域それぞれの往復として読みます。
八駅を、一つの駅勢圏として数えない
高山本線の駅を、所在地と日常の目的地から分けます。
八駅は南北に長い市域へ並びます。飛騨小坂・飛騨宮田は小坂、上呂・飛騨萩原・禅昌寺は萩原、下呂・焼石は下呂、飛騨金山は金山の入口です。駅数が多くても、隣駅へ歩いて切り替えられる都市部の沿線とは条件が違います。
高山方面へ向かう日と、美濃太田・岐阜方面へ向かう日では、便利な駅や列車が変わります。最寄り駅の距離だけでなく、目的地へ着く時刻、帰りの列車、駅から自宅へ戻る便までを一組にします。
候補住所から駅へ実際に向かい、飛騨川を渡る橋、国道41号との交差、坂、冬の日陰を記録します。駅名が同じ市内にあることを、徒歩圏の近さへ置き換えません。
飛騨宮田、上呂、禅昌寺、焼石は、四結節点以外だから省いてよい駅ではありません。日常の最寄りになる住所では、そこから直接乗る日と、結節点まで地域交通で出る日を比べます。停車時刻、駅前で待てる場所、降車後に歩く川沿いの道まで確かめると、小さな駅を単なる途中駅にせずに済みます。
八駅は一列に並んでいても、五地域の暮らしを一つにまとめる駅勢圏ではありません。
四つの結節点へ五地域を戻す
旧五町村の生活線を、現在の乗換拠点へつなぎます。
市の地域公共交通計画は、飛騨小坂、飛騨萩原、下呂、飛騨金山を交通結節点として捉えています。鉄道駅を数えるより、地域内の便がどの結節点へ集まり、そこからどの方向へ出るかを見る方が一日の動きに近づきます。
小坂では飛騨小坂駅、萩原では飛騨萩原駅、下呂では下呂駅、金山では飛騨金山駅を軸にします。馬瀬は市内に鉄道駅がないため、萩原側などへ出る地域交通と道路が入口です。
たとえば馬瀬から萩原側へ出る日は、地域内の停留所から結節点までと、高山本線へ乗り継いだ後を別々に記録します。帰りは列車到着後の接続がなければ、萩原で待つか迎えへ切り替えることになります。小坂や金山の支谷でも同じように、駅前までではなく玄関までの最終区間を残します。
行政、受診、買い物、通学の目的地を一週間分置き、五地域のどこで済ませ、どの用事で別地域へ動くかを分けます。市役所の所在地だけを全市の生活中心とは考えません。
四つの結節点は駅の順位ではなく、五地域から次の交通へつなぐ場所です。
馬瀬と支谷は、鉄道の外側から読む
駅名では見えない最後の区間を、地域交通と道路で確かめます。
げろバスなどの地域交通は、鉄道沿線から離れた集落と結節点をつなぎます。ただし路線名があることと、毎日の予定に使えることは同じではありません。便の運行日、予約の要否、停留所、帰宅時刻を現行案内で確かめます。
馬瀬では馬瀬川沿いから谷口へ出る時間、小坂・萩原・金山の支谷では最寄り停留所までの道を足します。駅まで家族に送ってもらう場合も、運転できる人が不在の日を一度作ります。
谷の奥では一本逃した時の待ち時間だけでなく、暗くなる前に歩ける区間、携帯電話がつながる場所、地域内で待てる場所を確認します。鉄道が平常運転でも、最後の支線が終われば帰宅は完了しません。
行きの列車より帰りの支線を先に見る
用事が延びた時にも玄関まで戻れるかを試します。
朝は列車に合わせて送迎やバスを組みやすくても、通院や仕事が延びた帰りは選択肢が減ります。候補住所ごとに、予定通りの帰宅、一便遅れた帰宅、地域内で待つ場合の三つを作ります。
下呂駅で列車を降りてから別地域へ戻る日、飛騨萩原駅でバスへつなぐ日、飛騨金山駅から支谷へ入る日を別々に試します。乗換時間だけでなく、待合場所、雨雪を避けられる場所、迎えの車が安全に停まれる場所も見ます。
下呂市の公共交通は、駅へ着けるかではなく、最後の便で玄関へ戻れるかから組みます。
飛騨川・斜面・雪で待機先を分ける
洪水、土砂、冬季の条件ごとに同じ道を使わない備えを持ちます。
飛騨川と支流に沿う道路、谷を囲む斜面、北部や標高の高い地域の積雪は、同じ日に重なることがあります。洪水時に川から離れる道が斜面の下を通るなら、土砂災害時と同じ避難路にはできません。
候補住所に対応する市のハザード情報を開き、自宅、駅、停留所、普段使う橋、避難先を重ねます。冬は除雪される幹線から玄関までの日陰や坂、列車・バスが止まった時の待機先も確認します。
家族が小坂、萩原、下呂、金山へ分かれている昼間は、全員が自宅へ戻る前提を外します。それぞれが川や斜面を越えずに待てる場所を持つ方が、広い市域では現実的です。
国道41号と高山本線、飛騨川が近づく区間では、一つの通行規制が鉄道・道路双方の帰宅に影響する可能性も見ます。通常の最短路だけでなく、次の結節点で止まる場合、地域側で動かず待つ場合、家族へ連絡できない場合を紙にも残します。
飛騨川から離れる道、斜面から離れる道、雪の日に通れる道を一つに決めません。