山鹿市の公共交通パンフレットを机に並べると、最初に小さな違和感が残ります。現在の市は山鹿・鹿北・菊鹿・鹿本・鹿央の五地域。ところが、地域名を持つ予約交通は、チヨマツ、たけんこ、あんず、キンカンの四つです。
鹿本だけがない。市の資料に「なぜ鹿本号がないのか」という一文はありません。だから理由を作ってはいけない。代わりに、都市計画と現行路線を横へ置きます。山鹿は「都市拠点」、鹿本市民センター周辺は「地域拠点」、鹿北・菊鹿・鹿央は「生活拠点」。五地域は、最初から同じ役割で並んでいません。
五地域なのに、地域名を持つ予約交通は四つ。この一つ足りない地図が、鹿本・来民の役割を教えます。駅のない山鹿市で住所を選ぶなら、最寄り駅を探す前に、日々の用事を山鹿と来民のどちらへ置き、最後にどの便で家へ戻るかを決めます。
五地域を並べたら、予約交通だけ四つだった
旧1市4町と四つの愛称を照らし、名前がない鹿本の役割から市の構造を読みます。
今の山鹿市は2005年、旧山鹿市と鹿北・菊鹿・鹿本・鹿央の四町が合併して生まれました。二十年を過ぎても五地域の名は消えていません。市民センター、ごみの収集日程、統計、福祉相談の窓口は、現在もこの単位で整理されています。
ただし、旧市町の境をそのまま生活圏と考えると読み違えます。都市計画の拠点階層は、行政区域とは別の線を引くからです。山鹿には市役所、バスセンター、市民医療センターなどが集まり、鹿本・来民には市民センターと日常施設、路線バスが重なります。鹿北は岩野川の谷、菊鹿は上内田川沿い、鹿央は丘陵へ集落が広がり、市民センターから先の道筋も同じではありません。
山鹿地域の内側も、山鹿・大道、米田・川辺、平小城、八幡、三岳、三玉に分かれます。温泉街の中心、菊池川沿い、農地、山際では帰る方向が違います。
山鹿は都市拠点、鹿本は地域拠点、鹿北・菊鹿・鹿央は生活拠点。旧市町名は、同じ重さでは並びません。まず候補住所が五地域のどこかを見て、次に最寄りの市民センター、学校区、予約交通の対象を一段ずつ細かくします。
山鹿と来民を、二つの用事先として使い分ける
市役所・医療が集まる山鹿と、国道沿いの日常拠点である鹿本・来民を、用事別に分けます。
市役所で手続きをし、市民医療センターへ寄り、山鹿バスセンターから市外へ向かう。こうした用事は山鹿中心へ集まります。一方、鹿本・来民は「山鹿までの途中」ではありません。市の交通計画でも地域拠点とされ、商業・医療など日常施設が集まるもう一つの用事先です。
ここで四つの予約交通の地図が効きます。山鹿チヨマツ号、鹿北たけんこ号、菊鹿あんず号、鹿央キンカン号は、対象地域内の移動に加え、山鹿・鹿本市街地側の指定乗降場へつなぐ仕組みを持ちます。鹿本名の便がない事実は、来民が路線バス沿いの行先でもあることと合わせて読む。これは資料同士を照らした編集上の読みであり、市が不在の理由を断定したものではありません。
公共交通計画に載る菊池方向の線を停留所順に追うと、山鹿バスセンター、市役所入口、市民医療センター前、鹿本高校入口、来民中町、鹿本市民センター裏が一本につながります。地図上の「地域拠点」が、通院・通学・手続きの途中でどう現れるかが見えます。
各市民センターでは、取扱業務を確かめれば証明や届出ができ、福祉相談も五地域に窓口があります。用事を「地域」「来民」「山鹿」の三列に分けます。
学校は八つの小学校区です。旧町名で決めず、住所と行政区を通学区域へ照らします。
序列ではなく特性の整理 | 項目 | 主な用事先・入口 | 帰路で確かめること |
| 山鹿 | 市役所、山鹿バスセンター、山鹿市民医療センター | チヨマツ号の対象、中心内の移動、市外路線 |
| 鹿北 | 鹿北市民センター、道の駅鹿北小栗郷、山鹿中心 | たけんこ号と予約不要便、岩野川・山地 |
| 菊鹿 | 菊鹿市民センター、山鹿・鹿本側 | あんず号、菊池方向、上内田川・谷筋 |
| 鹿本 | 来民、鹿本市民センター、路線バス沿線 | 専用愛称便がない役割、山鹿・熊本・玉名方向 |
| 鹿央 | 鹿央市民センター、山鹿・鹿本・植木側 | キンカン号、丘陵・ため池、市境方向 |
鉄道駅の代わりではなく、五方向のバスを選ぶ
山鹿バスセンターを一つの駅に見立てず、熊本・菊池・大津・玉名・南関への向きで選びます。
山鹿市内に現行の鉄道駅はありません。だからといって、市外の新玉名駅や玉名駅までの距離だけを測ると、家から駅までの一番大切な区間が抜けます。
山鹿バスセンターからは、植木を経て熊本中心へ向かう系統のほか、菊池、大津、玉名、南関方面へ路線が伸びます。来民を通る便もあります。市の調査では、通勤先は市内が約七割で、市外では熊本市・菊池市が多く、通学は市内が約六割で、市外では熊本市・玉名市が目立ちます。
通勤は熊本・菊池、通学は熊本・玉名への流れが目立つ。一家の朝は、一方向へそろうとは限りません。大人の通勤だけで住所を決めず、子どもの帰宅便まで同じ曜日で確かめます。
山鹿バスセンターは駅の代用品ではなく、熊本・菊池・大津・玉名・南関の方向を継ぎ替える場所です。候補住所からバスセンターへ出る時間、乗換待ち、市外の到着後を足し、帰りの最終便まで同じ紙に書きます。四駅と四予約交通を持つ隣の玉名市とは、優劣ではなく入口の組み方そのものが違います。
車でも、国道3号は熊本・植木側と鹿北側、国道325号は菊池側へ分かれます。高速道路の入口は市外。住所から菊水・植木など実際に使う入口まで、朝夕に一度走ります。
鹿北の朝は、予約便より先に定時便を置く
四つの予約交通と鹿北の予約不要便を、予約締切と帰り便から一日の時計へ戻します。
四つのあいのりタクシーは一般のタクシーではありません。対象地域と乗降場所が決まり、基本は前日の午後までに予約します。週六日・一日五便でも、好きな時刻に玄関へ呼べる便ではありません。
鹿北には、もう一つ時計があります。道の駅鹿北小栗郷と山鹿バスセンターを結ぶ予約不要のジャンボタクシーです。週六日、一日三往復。予約型のたけんこ号と同じ乗り物として数えず、通勤通学の朝夕、日中の通院や買い物で役割を分けます。
鹿北では「予約して乗る便」と「時刻に合わせて乗る便」を、一日の中で使い分けます。菊鹿・鹿央・山鹿の対象地域では、前日の予約締切から帰宅時刻を逆算する。鹿本・来民では、路線バスの停留所と最終便を先に置く。車なしの日は、この違いがそのまま暮らしの段取りになります。
新玉名駅への新交通や旧鉄道敷の構想は、今日乗れる便と分けます。現行便は市の最新パンフレットと時刻表で確かめます。
菊池川へ下る日常と、三河川から離れる避難を分ける
菊池川本流、岩野川、上内田川と斜面を重ね、普段の中心方向を非常時には疑います。
市の南側を菊池川が流れ、山鹿・鹿本の市街地や農地は川へ開きます。鹿北では岩野川、菊鹿では上内田川が谷を下ります。普段は市民センターや山鹿中心へ向かう道でも、大雨の日には同じ低地・橋・谷口を通らない判断が要ります。
中心へ下る道が、非常時にも安全とは限りません。菊池川・岩野川・上内田川ごとに帰路を描き直します。山鹿・鹿本は菊池川本流と内水、鹿北は岩野川と北部山地、菊鹿は上内田川と谷沿い、鹿央は丘陵の斜面やため池を住所ごとに重ねます。
市の公開GISでは、洪水、家屋倒壊等氾濫想定区域、内水、土砂、冠水想定箇所、避難所を重ねられます。自宅だけでなく、学校や来民から帰る経路にも同じ図をかけます。
Q. 山鹿市内に鉄道駅はありますか。
現行の鉄道駅はありません。市外駅を先に決めず、住所から山鹿バスセンター・来民・最寄りバス停へ出る方法と、その先の市外方向を確認します。
Q. 五地域なのに、なぜ地域名のあいのりタクシーは四つですか。
市は鹿本名の便がない理由を明記していません。確認できるのは、山鹿・鹿北・菊鹿・鹿央に愛称便があり、鹿本・来民には路線バスと日常施設が重なることです。
Q. 鹿北たけんこ号と鹿北のジャンボタクシーは同じですか。
異なります。たけんこ号は予約型です。ジャンボタクシーは道の駅鹿北小栗郷―山鹿バスセンターを走る予約不要の定時定路線便です。
Q. あいのりタクシーは好きな場所から好きな場所へ乗れますか。
一般タクシーとは異なり、対象地域、指定乗降場、時間帯、予約条件があります。候補住所を最新パンフレットで確認します。
Q. 山鹿中心まで毎回出ないと行政サービスを使えませんか。
鹿北・菊鹿・鹿本・鹿央には市民センターや相談窓口があります。手続きごとの取扱いを先に確認します。
Q. 洪水は菊池川だけ見れば十分ですか。
十分ではありません。鹿北の岩野川、菊鹿の上内田川、内水、ため池、土砂災害を住所と帰路ごとに重ねます。
候補住所を決めたら、平日の午後に山鹿市役所と来民の二か所へ用事を置きます。どちらを先に回れば、予約便または路線バスで家へ戻れるか。鹿北なら予約不要便も加えます。
最後に大雨の日を重ね、普段の中心方向を一本消します。五地域のうちどこに住むかではなく、二つの用事先からどう帰り、三つの河川からどう離れるか。その答えを自分の時計で書けたとき、山鹿市の五地域は初めて暮らしの地図になります。
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