甲府市の住所には、甲府駅から歩ける街路も、国道358号と芦川に沿う山間集落もあります。どちらも同じ市内です。県都という一語でまとめると、七つの駅がある盆地市街地と、鉄道のない上九一色まで同じ移動条件に見えてしまいます。
2006年、甲府市は中道町と上九一色村北部の梯・古関区域を編入しました。旧甲府市、旧中道町、旧上九一色村北部は都市計画の扱いも異なります。合併の線は行政だけでなく、土地利用と日常交通を読む手掛かりです。
候補地を比べる時は、甲府駅までの分数に加え、市が公開する五ブロック31地区の地域カルテを開きます。医療、学校、商業、防災、年齢構成を、住む地区の資料から確かめます。
七駅を盆地の外へ伸ばさない
中央本線と身延線の駅勢圏を、北山・中道・上九一色へ無条件に広げません。
市内にはJR中央本線の甲府・酒折、JR身延線の甲府・金手・善光寺・南甲府・甲斐住吉・国母があります。甲府駅を重複させず、駅は七つです。
甲府駅は中央本線と身延線、路線バスが集まる広域結節です。一方、酒折・善光寺、南甲府・甲斐住吉・国母では目的地の方向、駅設備、周辺道路が違います。七駅を一つの巨大な徒歩圏として扱いません。
北部山地、中道、上九一色からは、駅までのバス・車・送迎が先にあります。列車時間へ到着する前の区間と、帰りに駅から家へ戻る区間を同じ重さで測ります。
中央本線を使う日と身延線を使う日では、甲府駅へ集まる意味も変わります。東部から酒折、南部から南甲府・甲斐住吉・国母へ直接入れるなら、毎回中心駅を経由する必要はありません。勤務先の方向から使う一駅を選びます。
甲府市の七駅は盆地部の選択肢であり、南北に長い市域すべての最寄り駅ではありません。
五ブロックの先に中道・上九を置く
31地区の生活機能と、合併した南の山間市域を別々の地図で読みます。
市は中央、東、西、南、北の五ブロックを31地区に分け、地域カルテと資源マップを公開しています。甲府駅周辺だけでなく、東部の学校・果樹地、西部の住宅地、南部の農地と市街地、北部山付きの条件を地区単位で確認できます。
南ブロックには中道・上九一色も含まれますが、両地区を盆地南部の平坦地と同じにしません。上九一色の梯・古関は急な山に囲まれ、国道358号と芦川沿いに集落が続きます。
行政手続きは本庁だけでなく中道支所、上九一色出張所でも扱うものがあります。ただし受付範囲は同じではありません。用事の名称から窓口を確かめます。
31地区のカルテは、地区人口を比べるためだけの資料ではありません。医療・福祉、子育て、地域資源、防災など同じ項目を候補住所ごとにたどれるため、「甲府市にはある」施設が自宅の日常圏にあるかを確かめる順番を作れます。
五ブロックは入口、31地区と合併前の地域は実際の生活条件を探す索引です。
放射状バスで横移動を試す
甲府駅へ出る便だけでなく、郊外の受診・買い物へ直接向かう一日を確認します。
市内の路線バスは甲府駅を中心に放射状に広がります。中心へ出る行程は作りやすくても、東部から南部、西部から病院など郊外どうしの移動は、駅前で乗り換える方が早い場合があります。
上九一色・中道地区コミュニティバスは平日に運行し、安全を確保できる区間では自由乗降ができます。身延線との接続も公表されています。運行があることと、通勤・通学の毎日に使えることを分け、土日と帰宅時刻を確認します。
家族が車を使っている日に、受診、買い物、学校の三つを一人ずつ試します。甲府駅へいったん戻る線と、国道を直接進む線を並べます。
例えば酒折側から南部の施設へ向かう場合、中心駅で折り返す経路と東西・南北の道路を進む経路を同じ曜日・時間帯で比べます。距離が短い横移動でも便がつながらなければ、徒歩、自転車、送迎の負担まで含めて初めて所要になります。
放射状の交通は中心への強さであって、郊外どうしを短く結ぶ保証ではありません。