東近江市は、2005年に八日市市、永源寺町、五個荘町、愛東町、湖東町が合併し、翌2006年に能登川町と蒲生町が加わって現在の市域になりました。琵琶湖岸から鈴鹿山地まで東西に長く、旧七市町は一つの中心から同心円状に広がっていません。
JR琵琶湖線の市内駅は能登川駅一駅で、八日市には近江鉄道本線と八日市線の結節があります。市役所本庁は八日市、市立能登川病院は能登川にあり、永源寺・蒲生等にも支所と市立医療があります。この記事では「東近江の中心」を一か所に決めず、鉄道、行政、医療、流域がつくる複数の入口から住所を読みます。
旧七市町を琵琶湖岸から鈴鹿山地へ並べ直す
二段階合併で広がった市域を、旧市町と流域のまとまりへ戻します。
能登川はJR駅を持ち、琵琶湖岸と愛知川下流に近い地域です。その東に国道8号と近江鉄道が通る五個荘、行政・商業の拠点となる八日市があります。湖東・愛東は平野の農地、集落、工業・事業所を地域道路が結び、永源寺は愛知川をさかのぼって鈴鹿山地へ入ります。
蒲生は市南部で、近江鉄道本線と国道307号・477号が日野町や竜王町の方向へつながります。同じ東近江市でも、能登川から大津・京都へJRで向かう生活、八日市から近江鉄道を使う生活、蒲生から日野川側を動く生活は別です。
本庁に加え、永源寺、五個荘、愛東、湖東、能登川、蒲生の六支所が置かれ、永源寺地域には政所出張所もあります。合併前の区分は昔の地名にとどまらず、窓口、交通、防災図を探す単位として残ります。物件住所を旧七市町のどこに置くか決めてから、使う駅、支所、医療、河川を一組にします。
能登川のJRと八日市の近江鉄道を別拠点で使う
同じ市内にある二つの鉄道入口を、行き先と乗継で使い分けます。
市が案内する鉄道駅は、JR能登川駅と近江鉄道十三駅です。近江鉄道は五箇荘、河辺の森、八日市、長谷野、大学前、京セラ前、桜川、朝日大塚、朝日野、新八日市、太郎坊宮前、市辺、平田の各駅があり、八日市駅で本線と八日市線が分かれます。
能登川駅はJR琵琶湖線で彦根・米原、大津・京都方向へ直結しますが、八日市の本庁や近江鉄道各駅と同じ駅前ではありません。八日市からJRへ出るときは、近江鉄道で近江八幡へ向かう経路、バスや道路で能登川へ向かう経路などを、時間帯と目的地に応じて確認します。
十三駅という数も、市域全体が駅徒歩圏という意味ではありません。湖東・愛東の集落、永源寺の谷、能登川の湖岸側には駅から離れた住所があります。通勤先がJR沿線なら能登川、近江鉄道沿線や八日市の用事なら八日市という名称だけで決めず、自宅から乗車までと帰宅便を含めて比較します。
近江鉄道の駅も、五個荘側、八日市線の市街地、蒲生側の本線へ分かれます。駅間を自由に横断できる網状の路線ではなく、八日市で分岐する形です。沿線の住所では、目的地と反対方向へ八日市まで戻る乗継がないか、終業後の列車間隔、自転車を置く駅と雨天時の送迎場所を確認します。
国道8号・421号と愛知川上流で生活の向きを分ける
湖岸平野から鈴鹿山地まで、道路と谷筋がつくる生活圏を読みます。
国道8号は五個荘・能登川側を南北に通り、近江八幡・彦根方面の商業や就業と結びます。国道421号は八日市から永源寺を経て鈴鹿山地を越え、三重県いなべ市側へ向かいます。国道307号・477号は蒲生から日野・甲賀・竜王方面の移動に関わります。
永源寺地域では愛知川沿いの国道421号が骨格でも、支流の谷や山腹集落は本線からさらに入ります。八日市までの距離だけでなく、永源寺支所、診療所、買い物先までに通る橋と斜面を確かめます。山越え道路が地図上で連続していても、冬季・大雨・工事時の規制を日常の代替路に数えない慎重さが必要です。
平野部でも道路条件は一様ではありません。工場の交替時間や幹線沿いの混雑、農道・集落内道路の幅、近江鉄道の踏切を現地で見ます。東西に長い市では「市内で完結するか」より、国道8号側、八日市、愛知川上流、日野川側のどこへ一週間の用事が向くかが、生活時間を左右します。
名神高速道路は八日市インターチェンジと蒲生スマートインターチェンジが市内移動の外側にある広域入口になります。ただし、高速道路へ近いことと日常の駅・支所・医療へ近いことは別です。県外通勤や物流の利点を確認する家庭ほど、一般道へ下りた後の混雑、冬用装備、運転できない日の代替交通を同時に確かめます。
六支所・ちょこっと交通・分散医療を地域内に戻す
行政、受診、買い物を地域交通で一往復にできるか確かめます。
市のちょこっと交通には、決められた停留所と時刻で走るちょこっとバスと、地域・系統に応じて予約して利用するちょこっとタクシーがあります。路線名だけで利用できると判断せず、候補住所の最寄り、予約方法、運行日、駅や病院への接続を現行案内で確認します。
市立医療は能登川病院だけに集まっていません。蒲生医療センター、永源寺診療所と東部出張診療所、あいとう診療所が地域ごとの接点です。日常診療、専門外来、検査、救急で行き先が変わるため、「公立施設が近い」だけで受診が完結すると考えません。
本庁手続き、支所で済む手続き、定期受診、買い物を一日に詰め込むと、予約交通の復路が合わないことがあります。まず地域内で済む用事を支所・診療所へ戻し、八日市・能登川へ出る日は接続に余裕を持たせます。車を使えない一日を作り、行きだけでなく受付終了後に自宅へ戻れるかを確かめると、交通と施設の実用範囲が見えます。