福井駅の案内板には、新幹線、ハピライン、えちぜん鉄道、福井鉄道が並びます。その四角い案内板の外へ目を移すと、東には美山の谷、西には越廼の海岸、その手前には清水の丘陵が続きます。福井市は、駅からの同心円では読めない広さと形を持つ市です。
現在の市域は2006年、美山町、越廼村、清水町を編入して海から山まで広がりました。都市計画マスタープランは、歴史的経緯、土地利用、河川や鉄道、学校・公民館のまとまりを踏まえ、市域を十三地域に分けます。この区分を先に置くと、同じ福井市の住所でも、毎日の用事がどちらへ向くかを具体的に比べられます。
十三地域を福井駅へ集めない
歴史、土地利用、河川、学校区を踏まえた十三地域を使い、中央平野から海岸・山間までを分けます。
十三地域は、市街地中心部、市街地東部、市街地北東部、市街地北部、市街地北西部、市街地南西部、市街地南部と、その外側の東南部、北部、北西部、南西部、西部、東部から成ります。「市街地北部」と「北部」のように似た名称があるため、文字だけで推測せず、市の地域別構想図へ候補地を置きます。
中心部では駅、県庁・市役所、商業、医療等の目的地を歩行や公共交通で結びやすい一方、同じ市街地でも足羽川や日野川を越えるかで経路は変わります。市の西端へ向かえば海岸、東へ向かえば谷が現れます。「福井駅まで何分」だけでは、この東西の厚みを表せません。
平日の目的地を行政、受診、食料、通学・通勤の四列にし、十三地域のどこで完結し、どこから中心部へ出るかを書きます。駅へ行かない日が多ければ、最寄り駅より道路や地域交通の方が先に確かめる条件です。
福井市の入口は福井駅一つではなく、十三地域ごとに違う日常の行き先です。
五つの鉄道系統を方向で分ける
福井駅の路線数を数えるのではなく、南北の平野、東部の谷、北西方向へ向かう役割を整理します。
鉄道は本数の合計ではなく、方向で分けます。ハピラインふくい線は大土呂、越前花堂、福井、森田を通って平野を南北につなぎます。越美北線は越前花堂から東へ折れ、六条、足羽、越前東郷、一乗谷を経て美山方面へ入ります。
えちぜん鉄道の勝山永平寺線と三国芦原線は福井口付近で方向が分かれ、福井鉄道福武線は市街地を通って南へ延びます。福井駅で乗れるという共通点より、候補地に近い駅がどの目的地と直結するかが大切です。
朝の列車だけでなく、目的地から戻る時刻、乗換え時間、駅から玄関までを一続きにします。大土呂・越前花堂・福井・森田というハピラインの四駅も、駅前の道とバス接続まで比べます。越前花堂のように複数路線が関わる場所では、ホーム間の移動を地図上の一点として省略しません。
五つの鉄道系統は、福井駅に集めて数えず、南北・東・北西へ向かう線として読み分けます。
美山・越廼・清水は別の一日を組む
旧三町村を郊外という一語でまとめず、駅、予約交通、連絡所、中心部までの往復を別々に組みます。
旧美山町側には越美北線の駅が連なりますが、駅から離れた集落では、列車時刻に加えて駅までの足が必要です。旧越廼村側には現行の鉄道駅がなく、日本海岸から中心部や鉄道へ出る区間を道路と地域交通で組みます。旧清水町側は丘陵と平野の境に広がり、中心部までのバス・車の経路が住所で変わります。
予約制乗合タクシー「ほやほや号」は清水、越廼、越前町の指定停留所を固定ダイヤで結びます。呼べば好きな時刻に玄関へ来る交通ではありません。原則一時間前までの予約、使う停留所、目的地での滞在、帰便を含めて一日を試します。
美山・越廼・清水には連絡所があり、本庁との遠隔相談も予約制で試行されています。紙一枚の証明取得と、担当課との相談では行き先が違います。窓口名があるから全手続が完結するとは決めず、用件ごとに連絡所で済むか、本庁へ行くかを先に確認します。
美山・越廼・清水は「中心部から遠い郊外」ではなく、鉄道、海岸交通、丘陵交通が異なる三つの生活線です。