おおい町の予約車へ「本郷から名田庄まで」と伝えても、そのまま一台では行けません。町内全域を対象とするうみりんスマイル号は、大飯地域と名田庄地域の間をまたいで利用できないからです。同じ町名の内側に、日常の移動境界が一本残っています。
現在の町は2006年、大飯町と名田庄村が合併して生まれました。海側の大飯地域には若狭本郷駅、町役場、国道27号があります。山間の名田庄地域は南川と国道162号に沿い、住民サービス室と小浜方面へ向かう名田庄線を使います。
候補住所を見る時は、役場までの距離を一つ測る前に、配車区域を二色に塗ります。その上で、若狭本郷駅へ向かう日、小浜へ向かう日、町内だけで用事を済ませる日を分けます。
一町二配車区域から始める
合併後の町名ではなく、予約車が越えられる境界を最初の生活地図にします。
うみりんスマイル号は利用登録と予約が必要な乗合交通です。平日の7時30分から17時30分まで運行し、固定停留所ではなく指定した場所どうしを結びます。通常運賃は大人一回500円、乗合時は300円です。
便利な仕組みですが、大飯地域と名田庄地域の相互利用はできません。本郷の役場から名田庄久坂へ行く場合、同じ町内だから予約車一台でつながるとは考えず、定時バス、乗継ぎ、家族送迎を別に組みます。
予約は二週間前から乗車30分前まで受け付けます。朝の受診や下校時刻に使うなら、誰が予約し、どの区域で乗り、17時30分までにどこへ戻るかを書いておきます。
ここで時刻表の代わりになるのは、「予約を入れられる時間」と「実際に乗りたい時間」の二列です。往路だけ先に押さえても、診察や手続きが長引けば帰りの区域内移動が閉じます。行きと帰りを一組にし、地域境界を越える区間だけ別の交通として書き分けます。
おおい町の最初の境界は町境ではなく、大飯と名田庄を分ける二つの配車区域です。
若狭本郷一駅を三地域へ広げない
本郷線、大島線、駅から離れる佐分利の谷を、それぞれ別の往復で確かめます。
町内の鉄道駅はJR小浜線の若狭本郷駅です。本郷周辺なら駅、役場、国道27号が近い一方、佐分利川の上流や大島半島へ同じ徒歩圏を広げることはできません。
福鉄バス本郷線は川上・子生谷など佐分利川沿いから、本郷なごみ、若狭本郷駅、うみんぴあ方面へ向かいます。大島線は大島の集落と若狭本郷駅・大飯中学校を結びます。一駅に二つの違う枝が集まる形です。
列車時刻だけでなく、バスが先に駅へ着くか、帰りの列車から接続するかを確認します。駅から徒歩で戻れない住所では、一本の接続を逃す重さが本郷駅前とは変わります。
高浜町側から小浜線で戻る日と、小浜市側から戻る日も分けます。同じ若狭本郷駅着でも、到着後に本郷線へ乗る人、大島線へ乗る人、迎えが必要な人では帰宅の終点が違います。駅の利用者数ではなく、列車を降りた後に残る一手を見ます。
若狭本郷駅は町の一駅ですが、本郷・佐分利・大島の三地域を同じ駅前にはしません。
佐分利川・大島・名田庄で用事を分ける
役場、住民サービス室、学校、受診先を、実際に向かう地域の時計へ載せます。
本郷には町役場、名田庄久坂には里山文化交流センター住民サービス室があります。証明、相談、学校、受診、買い物を一か所へまとめず、実際に利用する施設と受付内容を確認します。
佐分利川沿いは谷から本郷へ、大島は半島から駅へ、名田庄は南川沿いから小浜方面へ向かいます。農業の地域計画も上・中・下佐分利、本郷東西、大島、名田庄西・中・東などに分かれます。地区名は古い呼び方ではなく、今の交通と防災図を探す索引です。
同じ朝に、家族の一人が若狭本郷駅へ、もう一人が小浜の病院へ向かう場面を作ります。二人分の帰宅まで閉じなければ、車一台で足りるとは決めません。
例えば本郷で行政手続き、名田庄で家族の用事がある日は、町内二地点でも交通は一筆書きになりません。先に済ませる用事、乗り換える場所、車を使う人を決めると、住所から役場までの単純な距離では見えなかった負担が現れます。
川の流れが違えば、駅・小浜・役場へ向かう日常の矢印も変わります。