和歌山市の中心駅は一つではありません。JR和歌山駅には阪和線、紀勢本線、和歌山線が入り、和歌山電鐵貴志川線も発着します。一方、南海和歌山市駅は南海本線・和歌山港線と加太線方面の入口です。二駅は離れ、市役所、和歌山城、日本赤十字社和歌山医療センターはその間の中心部にあります。和歌山市民図書館は南海和歌山市駅に隣接し、公共施設さえ一か所へ集約されていません。
市の都市計画マスタープランは、市域を中心部、北西部、北部、北東部、東部、南東部、南部の七地域に分けます。海岸、紀の川の両岸、東部の平地、南部の丘陵と湾岸まで含むため、「和歌山駅に近いか」だけで全市を比較できません。この記事では二駅と城周辺を三つの中心拠点として置き、七地域を使う鉄道・橋・医療・災害の方向へ戻します。
二つの和歌山駅を中心部の三拠点へ結ぶ
JR・南海の駅と、市役所・日赤がある城周辺を別々の用事の入口として読みます。
JR和歌山駅周辺は、複数のJR線と貴志川線が接続し、東西の駅前に商業・業務機能があります。大阪方面、紀北・紀南、紀の川上流側、貴志川沿線へ向かう人が同じ駅を使っても、改札後の路線と乗換え時間は異なります。勤務先までの最短列車だけでなく、残業後と休日の運行を確認します。
南海和歌山市駅は、大阪側と加太・和歌山港方面を結ぶ別の玄関です。駅に市民図書館が隣接するため、本を借りる、子どもと滞在する、証明書を取るという用事でも、図書館と市役所本庁では目的地が分かれます。「和歌山駅」という会話ではJR駅を指すのか、南海駅を指すのかを必ず確かめます。
市役所・城周辺と日赤は、どちらか一方の駅前ではありません。駅から徒歩で向かう日、路線バスを使う日、自転車で中心部を横断する日を分けます。大きな交差点、歩道、雨天時の待合、病院受診後の帰路まで見ると、二駅への近さとは別に中心市街地内の移動負担が現れます。
JR駅、南海駅、城周辺は互いの代用品ではなく、広域鉄道、北西部への支線、行政・医療を分担する三拠点です。候補住所から三地点へ線を引き、一週間に使う回数の多い線を先に現地で試します。
七地域を四つの鉄道方向へ割り振る
市域を駅数で一括せず、北西・北東・南東・南部へ伸びる路線と生活先を照合します。
北西部では、南海本線の和歌山大学前駅や紀ノ川駅、加太線が関わります。大学・新しい住宅地がある丘陵側、河西の市街地、磯ノ浦・加太へ向かう沿岸では、同じ北西という区分でも駅までの坂と支線の方向が違います。駅名が近く見えても、徒歩で越えにくい地形や幹線道路があります。
北東部では、JR阪和線の紀伊駅・六十谷駅と国道24号が大阪・岩出方面への軸です。紀の川北岸から市役所・日赤等へ向かう日は、橋を渡る区間が加わります。列車通勤が成立しても、子どもの送迎、買い物、行政のために毎日南岸へ渡る住所かどうかを確認します。
南東部では、貴志川線がJR和歌山駅から田中口、日前宮、神前、竈山、交通センター前、岡崎前、吉礼、伊太祈曽、山東へ延びます。駅が細かく置かれていても、店舗・診療所・学校がすべて駅前にあるわけではありません。自宅から駅、駅から最終目的地という二つの徒歩区間を測ります。
南部ではJR紀勢本線の宮前駅・紀三井寺駅と、和歌浦・県立医科大学附属病院方面へ向かう路線バスが関わります。海岸低地、丘陵、幹線道路沿いで経路が変わるため、病院に近いことと鉄道通勤に近いことを同じ評価にしません。七地域のどこでも鉄道を数えるのではなく、北西の南海、北東の阪和、南東の貴志川、南部の紀勢という方向を住所へ一本ずつ割り当てます。
地域バスは駅外住宅地の最後の区間に置く
鉄道・幹線バスの外側を支える交通を、対象地区と運行条件から確かめます。
和歌山バス・和歌山バス那賀の路線は、JR和歌山駅と南海和歌山市駅を軸に、県庁、市役所、医療機関、大学、南部等を結びます。ただし、市内の全住宅地が両駅へ同じ本数で直結するわけではありません。往路で駅へ着けても、帰宅時に同じ停留所へ戻る便があるかを見ます。
市内には紀三井寺団地線、有功線、木本・西脇線等の地域バスや、加太地区のデマンド型乗合タクシーがあります。これらは地域の移動課題に対応する交通で、市民ならどの住所からも使える一つの循環線ではありません。対象地区、停留所、予約、運行日、運賃を現行案内で照合します。
鉄道駅から離れた候補地では、朝の一便だけを基準にせず、買い物袋を持つ昼、通院が長引いた夕方、雨の夜を試します。停留所までの歩道、幹線道路の横断、屋根の有無も、時刻表には表れない生活条件です。
家族の一人が車で郊外の勤務先へ行くとき、残る人が地域交通で駅・病院・買い物へ往復できるかを書き出します。公共交通の本数ではなく、鉄道・幹線バスから玄関まで残る「最後の区間」を、利用できない曜日まで含めて評価します。