出雲崎駅で降りても、目の前に日本海はありません。駅と役場がある川西から海岸へ向かうには、丘陵を越えて坂を下ります。反対に、海岸の家から列車に乗る日は、海沿いのバス停や予約交通から駅までをつながなければなりません。同じ「出雲崎」という名前の中に、海岸と駅前という二つの生活の入口があります。
町の海岸住宅地は、国道352号・402号沿いに約3.6km続く細長い帯です。内陸には越後線、国道116号、役場、学校や公共施設が集まります。現在の町域は、明治期の2町3村から西越村と出雲崎町への再編を経て形づくられました。海岸と内陸に生活の核が残る背景を知れば、二つの中心が離れていることも偶然には見えません。海を基準に住所を選ぶのか、駅・行政を基準にするのか。その間の峠を週に何度越えるかまで数えます。
海岸の出雲崎と駅前の出雲崎を分ける
同じ町名の中にある二つの一次生活圏を、峠越えの一往復で確かめます。
海岸地区は旧北国街道に沿い、尼瀬から井鼻まで集落が連なります。道に面した妻入りの家が続き、家と海と斜面が近い場所です。食品、通院、通学、行政手続きをどこで済ませるかを書き出し、海岸内で完結する用事と内陸へ出る用事を分けます。
駅前地区では出雲崎駅、役場、中央公民館、保健福祉総合センターふれあいの里などが生活の目印になります。ただし、施設同士が一つの駅前広場に固まっているわけではありません。徒歩、自転車、車で回る順序と、越後線を使う日の動線を別に試します。
海岸から役場へ行き、その後に駅へ向かい、夕方に海岸へ戻る一日をつくります。さらに長岡の病院や柏崎方面の用事がある日は、海岸から峠を越えた後にどちらへ進むのか、帰路でどこまで公共交通を使えるのかを書き足します。晴れた昼だけでなく、雨、冬の風、暗い帰宅時間でも峠道を通れるかを見ることが重要です。
出雲崎町では、海岸と駅前を一つの中心として測らず、峠を越える回数を一週間の予定へ書き込みます。
二駅はホームから先の行程で比べる
駅の数ではなく、役場・学校・海岸へ続く移動まで含めて入口を選びます。
町内の越後線には出雲崎駅と小木ノ城駅があります。二駅とも町の鉄道入口ですが、海岸一帯を徒歩圏にする駅ではありません。出雲崎駅は川西の行政・公共施設側、小木ノ城駅は町北東側の入口として、候補住所からホームまでの道を個別にたどります。
出雲崎駅から海岸地区へは、町の案内でもバスまたはタクシーへの乗り継ぎが示されています。列車の到着時刻だけでなく、接続する交通、待てる場所、最終の帰路を確認します。小木ノ城駅を候補にするなら、自宅から駅まで、駅から海岸まで、駅から国道116号側の目的地までの三本を引きます。三本のうち毎週使う線が最も短くなるかで、出雲崎駅との役割差を確かめます。
長岡方面へは越後線や路線バス、車では国道116号が候補になります。柏崎側や海岸沿いへ進む日は国道352・402号の向きが加わります。目的地によって駅を使う日と使わない日を分け、家族全員の出発方向が同じか確かめます。
二駅の存在は町全体の鉄道利便を保証せず、駅を降りてから海岸・役場・自宅へ届く行程が判断材料です。
てまりん便は帰りの予定から組み立てる
予約交通と路線バスを、受診や買い物が延びた日の復路から読みます。
町のデマンド交通には、町内移動を支えるてまりん便があります。予約して利用する仕組みなので、固定路線の停留所へ行けば同じ経路を走るバスとは使い方が異なります。候補住所、目的地、利用日、予約締切を現行案内で確かめます。
海岸から受診や買い物で内陸へ出る日は、行きの予約より帰りを先に置きます。海岸南部と北部では同じ停留地点や峠を使うとは限らないため、どこで降りて最後を歩くかも分けます。診察が延びた場合、買い物を追加した場合、越後線が遅れた場合に、どこから何時に戻れるかを確認します。便が合わなければ、おかえりライナー便、路線バス、家族送迎へ切り替える場所を決めます。
交通を一つずつ評価するのではなく、朝は路線バス、帰りは予約交通という組み合わせも試します。古い時刻表を保存したままにせず、利用日の最新案内で運行日と予約方法を再確認します。