知夫村は小さな島の村です。地図を縮めると、来居港からどの地区へもすぐ歩けるように見えます。しかし、港、役場や学校のある郡、診療所、七つの地区は一地点ではありません。坂と海岸道路、便ごとの予約条件まで見なければ、日常の距離は分かりません。
この記事では、船が着く来居と、村営バスが巡る7地区を一つの往復として読みます。
来居港で移動を終えない
島前内航船を降りた後に、地区へ戻る短くない一工程があります。
村内に鉄道駅はありません。島外・島前の移動は来居港を使います。港へ船が着いても、郡や古海などへ向かう村営バスがつながらなければ、自宅への移動は終わりません。
港では、船の乗降口からバスの停車位置、待てる場所、雨や風を避けられる範囲を歩きます。船が遅れたとき、次のバスが待つのか、家族の迎えなしで地区へ戻れるかを公式案内で確認します。
来居に住む場合も、港徒歩だけで判断しません。役場、学校、診療所、買い物など、郡や他地区へ出る日を一週間に置き、帰りの便まで試します。
来居港は海から村へ入る場所であり、七地区への最後の移動が始まる場所です。
七地区を一つの徒歩圏にしない
郡、来居、仁夫、大江、薄毛、多沢、古海を、それぞれの生活起点として見ます。
村の防災資料とバス時刻表には、薄毛、多沢、郡、大江、仁夫、来居、古海の7地区が現れます。人口規模が小さくても、湾、尾根、道路の曲がりで隣の地区までの条件は変わります。
住所カードには地区名、来居港までの便、郡までの便、最寄りの避難先を書きます。大江の診療所、郡の学校やコミュニティ施設など、目的地を地区名だけでなく具体的な停車地点へ落とします。
朝夕、雨天、荷物のある日をそれぞれ歩きます。徒歩で行ける距離でも、帰りが上り坂になるか、街灯があるか、海岸沿いを通るかによって使い方は変わります。
七地区は小さな村を細かく見せる地名ではなく、移動と防災を組む実際の生活単位です。
予約で延びる枝を便ごとに読む
前日予約と30分前予約を、一つのルールにまとめません。
村営バスの時刻表では、通常の停留所運行に加え、便によって予約が必要な区間や玄関送迎があります。古海へ向かう一部は前日17時まで、玄関送迎の一部は30分前までというように条件が異なります。
すべてを「予約制バス」とまとめず、利用する便の欄だけを確認します。往路を予約するときに復路の締切も書き、当日に用事が延びた場合の次便と待機場所を決めます。
予約カードには地区、便、締切、乗車地点、帰便、連絡先の6項目を置きます。家族のスマートフォンにも同じカードを共有し、古い時刻表の画像だけを保存しません。
七地区を比べるときは、役場や港までの距離だけで並べません。来居なら船の待合、郡なら行政や学校、仁夫・大江なら診療所を含む用事というように、地区ごとに「中心へ出ずに済む一件」を探します。そのうえで、週に一度だけ地区を越える日を時刻表へ置くと、移動回数を増やさずに生活を組める住所か判断できます。
知夫村のバスは、予約の有無ではなく「どの便のどの枝が予約で延びるか」を読む交通です。
島前三港を一日に詰め込まない
来居、菱浦、別府の移動を、島内の用事と帰便まで含めて選びます。
島前内航船は来居、海士町の菱浦、西ノ島町の別府を結びます。別府の病院へ行く日、菱浦へ用事がある日を分け、三港を自由に巡回できる近距離交通とは考えません。
来居発、目的港着、港から目的地、帰りの船、来居から地区へのバスを一列にします。車を伴う日は船種と車両航送、徒歩の日は目的港後の交通を別に確認します。
海が荒れる日は、船が欠航した後の行き先をその場で考えません。受診や手続きを延期できる条件、島内で代替できる用事、港へ向かわない判断時刻を事前に決めます。
来居・菱浦・別府の近さは、三港を回る速さではなく一つの用事を終えて帰れるかで測ります。
海から離れる道を地区で選ぶ
沿岸と斜面の間で、災害種別ごとに進む方向を変えます。